楽隊のうさぎ

４月・新学期。中学生になった奥田克久は、新生活に期待するどころか、むしろ学校にいる時間を短くしたいと考えている引っ込み思案の少年。だが彼の通う花の木中学校では、全員何かしらの部活に入る決まりがあった。仕方なく活動時間の短い部活を探してみるも、同じ小学校の友人に誘われたサッカー部にさえ、気乗りしない。そんなある日、克久が廊下を歩いていると、目の前に奇妙な姿のうさぎが現れる。そして誘われるように、うさぎの後を追いかけると、たどり着いたのは音楽室。そこにはティンパニを演奏している一人の女性がいた。少女と楽器に興味を惹かれた彼は、思惑とは逆の、練習時間が長い事で有名な吹奏楽部に入部する事に。音楽の世界に戸惑いながらも夢中になっていく克久だが、定期演奏会に向けての練習で、アンサンブルの難しさを痛感し…。