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スタッフ  
原作・脚本:ニコロ・アンマニーティ 共同脚本:フランチェスカ・マルチャーノ・音楽:エツィオ・ボッソ
監督:ガブリエーレ・サルヴァトーレス インタビュー
子供たちについて教えてください
「この配役に辿りつくまでに1200人の子供と会いました。現場では子供たちに対してトリックや嘘を全く使わなかった。子供たちは我々が傷つけない限り、皆小さな仏陀です。彼らは痛み、隔たり、畏れ、喜びなどすべての感情を持ち合わせています。演技する(acting)の同意語が、遊ぶ(to play)なのは偶然ではありません。"遊ぶ"というのは非常に真剣な行為なのです。」

延々と続く麦畑がこの物語のほとんどの舞台になりますね

「麦は、その色合いと映像向きだという理由から、この映画の中で最も重要な要素です。また同時に非常に興味深い象徴でもあります。表面上はとても美しく、パンを連想させることから安心感を与えてくれますが、実際は高さが1メートル以上あり、子供たちの前に高くそびえたちます。そして麦畑の下には多くの秘密が隠れているのです。」

アンマニーティの本のどこに惹かれたのですか?
「初めて読んだ時から原作には大きな影響を受けました。子供たちが大人の経験をするというとても成熟した、夢中にさせるストーリーです。元々子供時代と人生の影の部分との関係に関心がありました。 自分が突然暗い穴の中にいることに気づくという感覚は、大人にも起こりえるのです。穴の中の少年が言っていたように、そこで世界はただの暗い場所ではなく外には陽光あふれる麦畑と現実があると教え、穴からの脱出を手助けしてくれる守護天使に出会うこともあるのです。
ここしばらくの間コメディやリアリズムから距離を置いて、現実を描写するためのフィルターを探していました。今までテレビゲーム、幻覚剤、腐った歯などからインスピレーションを得ていましたが、今度は10歳の子供の視点に着目しました。そのことで1m30cmの高さにカメラをセットしなくてはなりませんでした。それが子供の視点で、我々が覚えている子供時代の風景だからです。それから元気一杯で強く積極的な少年と、暗い穴の中に閉じ込められ現実を視覚的に捉え切れていない少年という2人のコントラストが気に入りました。」

子供は勇気を出そうとして子守唄やお祈りを唱え続けたりします。大人にとって恐れないとは何を意味するのでしょうか。
「暗い穴の中や物陰を見る能力、それが孤立や不服従を意味するとしても目を見開き続けることです。今、イタリア社会は脚色された現実を見せていて、そのことが映画にも反映されています。私はブレヒトの言う、芸術家は常に大衆の一歩先を行かなくてはならない、という考えに共鳴します。しかし残念なことにイタリアでは芸術家が大衆の欲求を満足させることに必死なのですが。」

作品の舞台を70年代にした理由は?

「1978年は誘拐事件被害者家族の資産を凍結する法律が可決された年です。またこの年、誘拐事件は急激に増加し全部で600件に達しました。また現代との時間的な差は物語を典型的なメタファーにすることができます。」
この映画は子供たちも見るべきだと思いますか?
「そのことは私自身も自問しました。私の8歳と9歳の甥たちが見ましたが、彼らは強い印象を受けました。また映画館で予告編が流れる場内はシーンと静まり返りました。観客の多くが騒がしいティーンエージャーだった時にも。ですから、子供たちにも見てほしいと思います。」

ほとんどが日中の光の中と数少ない夜のシーンで構成されるスリラーを作ることは大変でしたか?
「恐怖は闇とだけ関連しているのではありません。10歳の少年にとって、下に動物や自分の脚を切りそうな乾いた草、穴など何が隠されていてもおかしくない、胸の位置まである麦畑とは何を意味するのか。私は明るい太陽の光の下にもひどく恐ろしいことが隠されていると思います。」

『マラケシュ・エクスプレス』以来イタリア南部に執着していますが…
「地球を宇宙から見ると、第一世界と第三世界を分ける砂漠の帯を見ることが出来ます。私はその下にあるものにとても惹かれています。コントラストがより強く、より誠実な場所です。私は普通の人々を主人公にする方を好みます。2人の少年との撮影はジョン・ウェイン主演の大作を撮るのと同じくらいの価値がありました。」

ディエゴ・アバタントゥオーノを典型的なワルに変えたのは信じられないとしか言い様がありません。
「ディエゴもまた彼の勇気を見せました。人を恐れさせるすべて?お腹や禿げた頭など?を見せてしまう勇気です。これは大事なことです。なぜなら彼の世代で非常に印象的で特徴ある肉体的な存在感を持つ男優は多くはないからです。」

プロフィール
1950年7月30日ナポリ生まれ。子供の頃ミラノへ移り、1972年に仲間とともにデッレルフォ劇場を旗揚げする。
台詞と音楽を融合させた新しいスタイルを提案し、特に若い観客から圧倒的な支持を得た。

現在ではデッレルフォ劇場はイタリア演劇界における最も重要な存在のひとつと考えられている。自ら生み出した劇団のために21の芝居を演出し、その多くがイタリアで高い評価と成功を得ている。 1981年に彼がプロデュースして上演された、「夏の夜の夢」の翻案ロックミュージカルは記録破りの20万人以上の動員に成功した。翌年同作品はサルヴァトーレスの手で映画化され、初監督作となるこの作品は1983年のヴェネツィア映画祭で高く評価された。 87年にナンニ・スヴァンパなど当時の代表的なキャバレー歌手が多く出演する"KAMIKAZEN-ULTIMA NOTTE A MILANO" を監督。初めての興行的な成功は88年に刑務所に囚われた友人を救うため、モロッコを目指し旅する男たちの友情を描いたロードムービー『マラケシュ・エクスプレス』で達成された。この作品でサルヴァトーレスのテーマとも言える"旅、友情、若者の間にある孤独"が初めてシャープに浮き彫りにされた。 91年には第二次世界大戦中にギリシャの小さな島に集まったイタリア軍兵士たちの姿を牧歌的に描いた『エーゲ海の天使』にてアカデミー賞外国語映画賞を受賞、ナンニ・モレッティやダニエル・ルケティらとともにイタリアン・ニュー・シネマの旗手として注目される。 96年には『ブレードランナー』に影響を受けた近未来ドラマ『ニルヴァーナ』を監督する。

本作『ぼくは怖くない』は03年ベルリン映画祭コンペ部門正式出品をはじめ、イタリアのタオルミナ映画祭にて監督賞を含む3部門を受賞、またイタリアのゴールデングローブ賞にて監督賞を受賞など高い評価を受け、 2004年度アカデミー外国語映画賞イタリア代表作品にも選ばれている。
フィルモグラフィー
 1983:夏の夜の夢<劇場未公開>
 1987:KAMIKAZEN-ULTIMA NOTTE A MILANO
 1988:マラケシュ・エクスプレス
 1989:TURNE
 1991:エーゲ海の天使
 1992:PUERTO ESCONDIDO
1993:SUD
1996:ニルヴァーナ
2000:DENTI
2002:AMNESIA
2003:ぼくは怖くない