チャーリジェイド -CHARLIE JADE

映画ライターが語る見所特集

「24」「LOST」「プリズン・ブレイク」に続く、トリッキーでスタイリッシュ、ファンタスティックでスリリングな海外ドラマ・シリーズが「チャーリー・ジェイド」だ。
 3つのパラレル・ワールド(並行世界)が交錯する壮大なアドベンチャーというユニークなアイディアに加え、そんな未知の空間に見る者を誘う演出の数々も効果満点で、恐らくは今までに作られたどんなTVドラマにも似ていない鮮烈な作品が 「チャーリー・ジェイド」だといっていいだろう。では、そのオリジナリティの源は一体どこにあるのか。
 まず、このドラマはカナダ・南アフリカ・イギリスの合作だが、メイン・スタッフを送り出したカナダとロケ地になった南アフリカという、2つの国のカラーが強い作品だ。
海外ドラマ・ファンにとってカナダは、近年の主要なSFドラマを次々に生み出してきた場所として、すでに馴染み深い国である。

 たとえば、日本でも大ヒットした「X−ファイル」。FBIが全米各地で怪事件・超常現象に挑むミステリーだが、第1〜5シーズンの収録はカナダのバンクーバーを中心に行われていた (第6シーズン以降の収録の拠点は米国のカリフォルニアに移ったが)。
カナダのバンクーバーやトロントは都会である上、郊外に豊かな自然があり、全米各地の風景や雰囲気を再現しやすいという。何より最近の米国の映画やドラマは、スタッフや俳優のユニオン(組合)が強くなりすぎたといわれる米国内より、 カナダで製作したほうが安上がりに作ることが出来る。そこでSFやアクションなど、VFXやアクション・シーンにお金がかかるジャンルでは、数多くのハリウッド映画や米国ドラマがカナダで製作されているというのが実情だ。
日本にも熱心なファンが多い各ドラマに関しても、「冒険野郎マクガイバー」「ミレニアム」「ハーシュ・レルム」「ダーク・エンジェル」「ヤング・スーパーマン」「トゥルー・コーリング」など、いずれも一見、米国ドラマのようだが、 実はカナダ(中でもバンクーバー)で製作されていた。後に「24」でブレイクするクリエイター、ジョエル・サーナウがエグゼクティブ・コンサルタントをつとめたTV版「ニキータ」も、やはりカナダのトロントで製作されていた。
要は、いまカナダでTVや映画、特にSF物やアクション物を手がけるスタッフは、それほど優れているのだ。「チャーリー・ジェイド」も、カナダからずっと遠い南アフリカがロケ地ながら、高品質に仕上がったのは、カナダの優秀なスタッフがいたからだろう。

 そして南アフリカも、実に魅力的な風景をこの「チャーリー・ジェイド」に提供している。日本から余りに遠いためか、特に筆者などそう馴染みがない南アフリカだが、2006年3月に発表された第78回アカデミー賞では、南アフリカ映画「Tsotsi(原題)」が外国語映画賞を受賞。 残念ながら日本未公開とあって筆者は未見だが、ある事件を機に人間性にめざめていくギャングが主人公のストーリーだとか。筆者は「チャーリー・ジェイド」に映るケープタウンのざらついた風景を見て、ブラジル映画の傑作「シティ・オブ・ゴッド」を思い出したが、SFドラマなのにそんなリアルで生々しい感覚があるのも「チャーリー・ジェイド」の見どころの1つに挙げたい。
 SFとしてもアドベンチャーとしてもミステリーとしても、空前絶後のスケールを持つ「チャーリー・ジェイド」。だがその中心にいるのが、タフで魅力あふれる大人のヒーロー、チャーリーだからこそ、クールなムードの中にもヒューマンな情熱があり、どこまでも彼の冒険を追い続けたくなるのである。