イングランドの中部でパブを経営しているビルは、43歳のくたびれた中年男。かつては将来を期待されるボクサーだったが途中で挫折、いまではアル中の一歩手前というありさまだ。そんなある日、友人の"何でも屋"アミッドからマンティス・シュリンプなるエビを使った、風変わりなビジネスを持ち掛けられる。マンティス・シュリンプはカリブ海に生息するエビで、大きなハサミで獲物をパンチして気絶させる習性がある。その習性を使って、人間対エビのボクシング試合を開いて金を儲けようというのだ。
 しかも、自然の驚異か遺伝子異常なのか、体長2m10センチもの巨体に成長しており、人間と戦わせるのにはピッタリ。人間対カンガルーのボクシング試合があるなら、人間対エビがあってもいいはず!
 これこそ冴えない毎日から抜け出すビッグ・チャンスだと確信したビルは、その巨大エビ"ミスター・C"を8000ポンドで購入。
 なにかと面倒をみてやっている年下のアマチュア・ボクサー、スティーブとスポンサー探しをするが、誰も話に乗ってくれない。こうなったらテレビ局に直接交渉するしかないと、"ミスター・C"をオンボロのバンに載せ、スティーブと彼の恋人シャズの2人を連れてロンドンへと向かうが、どのテレビ局からもいい反応を得ることができない。一攫千金の夢をあきらめてたまるかと、シャズは色仕掛けでプロデューサーに接近。ビルとスティーブも人気女性司会者ウルリカの家をたずねて"ミスター・C"を見せる。だが、シャズは逆にプロデューサーに入れ込んだ挙句に捨てられ、ビルたちもウルリカと"ミスター・C"を対面させるものの彼女を気絶させてしまい、結果は散々なものに。
 お手上げ状態となった彼らは、アミッドに連絡して協力を頼む。ロンドンへと駆けつけたアミッドは、テレビ局のプロデューサー向けの特別プレビューとして、"ミスター・C"とスティーブの試合を企画する。手頃な廃倉庫を見つけて会場を設け、各局のプロデューサーに招待状を配るビルたち。
 やってきた人間は数えるほど、おまけにスティーブではなくアミッドが"ミスター・C"にブッ飛ばされるハプニングがあったものの、テレビ局からの出演オファーをもらうことに成功する。
 番組の内容は、闘技場をイメージしたセットで男たちが"ミスター・C"と戦うというグラディエーター・スタイルに決定。しかし、ビルは"ミスター・C"を見世物にすることに後ろめたいものを感じる。彼は、ホテルの部屋で寝食を共にしながら、殻に保湿クリームを塗ったり、水を張ったバスタブに体を漬けてやったりと、世話をしているうちに"ミスター・C"に対して愛情を抱くようになっていたのだ。
 そして、番組の収録日。観客から「醜い」と蔑まれ、罵声を浴びせられ、人間と戦わされている"ミスター・C"の姿を見て、胸が張り裂けそうになるビル。いてもたってもいられなくなった彼は、番組を中断させようと飛び出していくが……。