INTERVIEW | インタビュー

エミリオ・エステヴェス(監督・ダニエル)
―この映画を制作することになったきっかけは?

インスピレーションになったのは僕の息子だ。彼が「ザ・ホワイトハウス」の撮影現場で父マーティン・シーンのアシスタントをしていた8年前に、2人はスペインに旅行に出てサンティアゴ巡礼をしようと思い立ったのだが、準備不足だった。杖も、バックパックもちゃんとした靴さえ持っていなかった。旅の途中ブルゴスの宿に泊まったところ、息子はその家の娘と恋に落ちてしまった。二人はそのまま結婚して今でもスペインに住んでいるよ。だからスペインで仕事をする理由を作るためにこの映画を作ることに決めたんだ(笑)
主人公は父を想定して書いた。マーティンの出演作には『地獄の黙示録』や『地獄の逃避行』がある一方で、誰も観ていないような仕事がたくさんある。家族を養うために受けた映画やTVの仕事などがね。どれもキャリアになるような作品じゃない。その結果彼は役者から尊敬される役者、職人的なヴェテラン俳優になったんだ。僕は彼の素晴らしさを皆に知ってもらえるような役を作りたかった。この映画で彼が演じる人物は、俳優として、男として、人間としての本当のマーティンを表している。

―ではこの映画はマーティンとあなたが共有している精神的で内省的な感受性へのオマージュなのですか。

その通り。この企画を最初に売り込んだ時、相手の目が凍り付くのがわかったよ。皆どうして僕がこの物語を伝えたいと思うのか理解できなかったようだ。でもこの作品は人類共通の人間性をテーマにしている点で『ボビー』とよく似ている。人間はみなそれぞれ何らかの傷を抱えている。ロサンゼルスのような街に住んでいると、まわりは完璧であることにだけ関心があって、歯を漂白したり、あれやこれやの薬を飲んで幸せを求めたり、スリムでいるためにダイエットをしたり・・・。そんな場所では自分らしくあることが一番などというメッセージは聞こえて来ない。だけど、僕らは誰もが完璧ではない。もしそんなメッセージが主流メディアから流れてくるとしたら、誰にとってもすばらしいことじゃないかな?

―あなたが次期大統領候補だったら絶対投票しますよ。


(笑)この映画は何かに異を唱えているわけではない。ただ少しだけ高みを目指すことを描いている。もしメディアが皮肉や悲観主義のような簡単に手にする果実を取ろうとしたり、格好つけたり威張ったりすることを止めてくれたらね。僕は少しだけ高い場所にある実を手にしたいと願っている。そのほうが甘くて、景色も素晴らしい。でもそれには努力しなくては、そして多くの人はその努力を惜しんでいる。人々を楽にするために技術は開発されたが、一方で人々が頭を使う動機を奪ってしまった。世の中は人とつながる技術であふれているのに、今まで以上に人同志が隔離されている。どうしてだろう? 僕たちは技術に肩代わりさせて、直接自然に手を触れることの優位性を失ってしまった。でも、技術の結晶のようなコンピューターのマイクロチップは地球の元素から作り出されていることを忘れてはいけない。

マーティン・シーン(トム)
―自分をスピリチュアルな人間だと思いますか。

そうではない人に会ったことがないよ! 誰もが不思議なことを信じているのでは? でも宗教の場合、教義が我々を引き裂くことが残念ながらある。でも精神性と人間性は私たちを結びつけてくれる。

―宗教はあなたのキャリアに少なからず責任がありますね。カソリックの神父からお金を借りて俳優になるためにニューヨークに移ったと読んだことがあります。


その通り。彼が私の最初の支持者だった。彼は3ヶ月間にわたって500ドルをくれた。当時は大金だったよ。2500ドルでシェビーの車が買える時代だからね。しかも彼は聖職給で暮らす教区神父だった。父が私をニューヨークへやりたがらなかったので、彼が権威者として間に入って父を説得してくれたんだ。

―この映画は故郷へのラブレターですね。どうして名前をマーティン・シーンに変えたのですか?

私の本名は今でもラモン・エステヴェスで、変えたことはない。公式には今でもこの名前だ。名前を変えたのはニューヨークに来たばかりの初期の頃で、当時は俳優になることがまず難しく、この名前はとても愛してはいるが、障害になってしまった。当時のニューヨークでは様々な問題をすべてプエルトリコのせいにしていたから。プエルトリコのコミュニティは好きだが、当時彼らは新しい移民でいろんなことで非難されていた。職を得るのは本当に難しく、フルトン・J・シーン主教の苗字と、当時私を励ましてくれたCBSのキャスティングディレクターのロバート・デール・マーティンの苗字を組み合わせて決めた。

―本名で通さなかったことを後悔していますか?

もちろん! 1965年に引退を控えてスペインに帰ろうとしていた父がブロードウェイの僕の舞台を見に来てくれた時、劇場の入口の看板で私の名前を探したのに見つけられなかった。それが一番の後悔だよ。
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 監督・脚本・製作:エミリオ・エステヴェス『ボビー』『メン・アット・ワーク』/出演:マーティン・シーン『地獄の黙示録』、デボラ・カーラ・アンガー『クラッシュ』、ジェームズ・ネスビット『英雄の証明』、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン『47RONIN』2010年/アメリカ・スペイン合作/英語/128分ビスタサイズ/ドルビーSRD/原題:The Way/字幕翻訳:寺尾次郎/プレス編集協力:増田統/後援: スペイン政府観光局 NPO法人日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム 配給:アルバトロス・フィルム
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