季節は巡りゆく。思い出だけを残して―。
パリで静かな暮らしを楽しんでいた祖母が突然、姿を消した―。 ロマンは彼女を探す旅に出る。 手掛かりは祖母の記憶のどこかにあるはず…。 パリとノルマンディーを舞台に、人生の輝きを描き出す3世代の物語。

主題歌はフランソワ・トリュフォー監督作『夜霧の恋人たち』でおなじみのシャルル・トレネの名曲『残されし恋には』。また、ロマンが夜番するホテルの名前と建物を、『夜霧~』でJ=P・レオ演じるアントワーヌが働いていたホテルと同じものに設定するなど、古き良き時代のパリへの嬉しい目配せを感じさせる。
対称的な美しさを放つパリとエトルタを舞台に、3世代の家族が人生を取り戻す光景には、寒い冬に心がじんわり温まるだろう。観た後に家族の声を聞きたくなる感動作が、ついに公開!
1967年、フランス北部のダンケルク生まれ。コメディ劇団Robins des Boisに参加すると同時に人気TVドラマシリーズ『女警部ジュリー・レスコー』に出演し、その名を知られるようになる。1998年にトマ・ヴァンサン監督の“Karnaval”で映画デビューし、2002年の『バティニョールおじさん』でセザール賞有望新人俳優賞を授賞。その後も『ロング・エンゲージメント』や『エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜』などに出演する。2008年には、1970年代に実在した犯罪者を描いた“Sans arme, ni haine, ni violence”で監督デビュー。2012年には自分に似た子供に出会い人生が変る男性が主人公の“Quand je serai petit”を発表。“Les Souvenirs”が長編3作目となる。
1952年パリ郊外生まれ。高校時代の友人であったクリスチャン・クラヴィエやジェラール・ジュニョらと劇団Splendideを結成し、映画では『レ・ブロンゼ』シリーズで成功を収める。カンヌ映画祭で男優賞を授賞した『タキシード』や『仕立て屋の恋』『マルセイユの決着』など話題作に出演しながら、舞台やTVでも活動。『他人のそら似』他、4本の監督作品がある。
1928年ブリュッセル生まれ。幼い頃からダンスと音楽を学び、若くしてその頭角を表す。1950年、パリの高級キャバレーであるリドで司会者として採用される。以来、700以上の曲を録音し、ガラ=コンサート、ミュージカルなどで活躍。1954年に有名歌手が多く出演した『パリは踊る』で映画にも進出、ルネ・クレモン監督の『雨の訪問者』やアラン・レネ監督の『風にそよぐ草』などに出演している。
年齢不詳。フランス南東部のギャップ生まれ。早くからTVやラジオの世界に関わり、1980年代後半にアラン・シャバらとお笑い集団Les Nulsを結成し、人気を博す。解散後は主に女優として活躍。2002年には監督作“Laisse tes mains sur mes hanches”で監督デビューを果たしている。また2014年の大ヒット作品でフランス映画祭でも上映された『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』で母親役を演じている。
1990年ブレスト生まれ。有名なヴィオリン奏者で指揮者の父を持ち、幼少時からヴァイオリンを学びながら、演劇学校にも通う。2008年、TVドラマシリーズ“Clem”で17才の父親役に選ばれ、5シーズンに渡って出演を果たす。映画では2009年に“Neuilly sa mère !”でデビュー。2014年から映画での活動を再開し、“Les Souvenirs”が初の重要な役となる。次回作は『おかしなおかしな訪問者』の第3弾。
1974年生まれ。文学とジャズの勉学を修め、現在はパリ在住。“Le Potentiel érotique de ma femme”“Nos séparations”“Les Souvenirs”“Je vais mieux”を始めとする12本の小説の作者であり、30カ国後以上で翻訳されている。2009年に出版された「ナタリー」は10つの文学賞を獲得。2011年には兄のステファンと共にオドレイ・トトゥとフランソワ・ダミアン主演で映画化の監督を務めた。“Les Souvenirs”は35万部以上を販売し、15カ国で訳されている。

―この作品では異なった3つの世代の、人生の通過儀礼の軌跡を描いています。青年、父親、祖母…
人生を語るのは非常に難しい事ですが、これ以上に興味深いことはありません。日常生活、普通の人々とその経歴が私を魅了するのです。これが監督として作りたい、観客として見たい映画で、とてもフランス的です。
―最初は「パリ風」のこの作品は、急変をすることなくエトルタに舞台を移します。このノルマンディーでの息抜きは重要だったのでしょうか?
物語が枝分かれしていく中で舞台を変える瞬間はあるものです。急変がないのはパリを地方の都市のように撮影しようと心がけたからだと思います。パリであろうとエトルタであろうと、人生や人々に眼を向けたという感覚があり、これが作品にまとまりを持たせ、2つの街を結びつけているのです。例えば反響し合っている2つのシーンがあります。青年がエトルタのカフェのドアを押すと同時に父親がパリのカフェの中に入って行きます。
―異なる領域の人達が撮影現場には集まったのですね…
アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタル・ロビーと私には共通点があることに気付きました。オペレッタ、カフェ・テアトル、もしくはTVでのコントです。私たち全員が同じ経験をしているのです。俳優として、同じような系列に属していると思いました。