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アルバンテナ
異型のパワーとスタイル

その昔、コレクションを見た
アルバトロスとは関係ないかもしれないけれど、それそのものが怪しげなもの、得体の知れないもの、なんとも不気味なもの、エロチックなもの、生々しいもの、というものに好奇心、あるいは嫌悪感を抱きつつも魅入られてしまうというのが人の性。そういう私にも圧倒的に魅力を感じてしまったものがありましてそのひとつをご紹介。実物をもう一度見てみたいとあれ以来思っています。かれこれ20年くらいまえでしょうか。あまりに昔であやふやなのですが、国立西洋美術館に、マウリッツハイス王立美術館にある芸術品の一部とティッセン・ボルネミッサ・コレクションの一部が同時に来ていたように記憶しています。確か同日に見たような気がしますが、そのときにはフェルメールが来てましたね。あの有名な、「真珠の耳飾の少女」(青いターバンの少女)他が展示されていたと思う。私はその頃シュールレアリズムに詳しい仏文学者の巌谷國夫氏が「フェルメールの絵画はすばらしいよ。「デルフトの眺望」はいいよお」と言われておるのをたまたま傍で聞いており、『見てえ・・・』と心のなかでつぶやいていたもんです。それでフェルメールが来たもんだから、観に行ったんだと思う。でも「デルフト・・・」は無かったような気がする。いや記憶違いかもしれません。「真珠・・・」は確かにありました。が、私はそれほどピンと来なかったです。色々当時調べたりなんだりしてみると、彼の光の扱い方がすごいのがわかって、銀食器の絵(「水差しを持つ女」)とか、「レースを編む女」などのほうが感動するからそっちのほうが好きです。 アムステルダム国立博物館に18年くらい前に行った時は出会ったことに感動するという、ちょっと動機が不純になっていたような気がする。

衝撃を受けてしまった絵
といいつつ、フェルメールは置いといて、肝心のはティッセン・ボルネミッサ・コレクション。こりゃ当時そんなコレクションがあることすら全然知らなくて、そこに展示されていたから結果観たようなもんですが、その時ホントに衝撃を受けたのが、突如目の前に現れた巨大な絵画(それ以外はまったく覚えておりません)で、題名は「鏡の中のジョージ・ダイアーの肖像」(1968年作)。作者はフランシス・ベーコンという人( HYPERLINK "http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=84809" 彼の映画もあります)。(後で作家について調べていくと、肖像の方は、ゲイであるベーコンのアル中ヤク中の友人ジョージ・ダイアーで、後に自殺したとのこと。そのネタを知った頃勝手に想像して、そりゃあんな半分顔が削げ落ちて、鏡の中の顔といったらパックリ割れてるの見たら自殺したくなるかもな、と思ったこともあります、いやホント)。絵がでかいし迫力!しかしそれに驚いただけではなく、見ていただければわかりますが、椅子の座る部分から鏡の支えあたりに無造作に走るように見えるが、なんともパワフルで、勢いのある白い絵の具(ここで見ていただいているのでは残念ながらその迫力が全然わかりませんが)の強烈な印象!この時の驚きをなんと言えばいいのでしょう。パックリもビックリだけど、この白い絵の具が“一閃”といった感じで空中に浮遊しているために、2次元絵画であることを忘れさせて、3次元的空間が一挙に圧倒的迫力で存在してるわけでごんす(古いかしら)!物理的な空間として迫ってくる!!!とでもいいましょうか・・・。なんでこんな白をここに置いたのだろう?そんな理由を問うことすらできなかった。今でも忘れられないです。後にも先にも2次元絵画でこれほど呆然として眺め続けた絵はないっす!これがティッセン・ボルネミッサ・コレクションに存在しているのを意識したのは後になって。それまでは、ティッセンなんとか展で見たということしか頭になかったです。それで、まあフランシス・ベーコン展が日本にやってきた時には必ず観に行くようにしてたのですが、あれ以来出会ってない。そりゃそうだったわけで、所有しているコレクションがこないと、ベーコンだからといってあるわけもなしということが当時わからなかった。前述したようにティッセンなんとかは覚えていたので、ネットで検索。そしたらティッセン・ボルネミッサ・コレクションにある!というのがわかったわけです。このコレクションは、なんでもドイツの鉄鋼王が集めたもので個人のコレクションとしては世界第2位だったそうな(ちなみに1位は英国女王)。過去形にしたのは、今は彼の5番目の奥さんのカルメンさんがスペイン人で、この方の愛の力があって、彼のコレクションをスペイン政府が買取り、ティッセン・ボルネミッサ美術館として1992年にオープンしておりますゆえ。私が見た頃はまだ個人蔵だったわけですねえ・・・。余談ですが、彼が亡くなった時のことが、2002年4月29日付けのスペインの新聞記事でしょうか、載っておりましたのでご覧くださいませ。ところでこの美術館のサイトでは展示室をヴァーチャルで閲覧できるようにしてあり、探ってみましたら、なんとあのベーコンの絵がかけてあるではないですか!小さい画面ですが、閲覧してる感じですよ!(絵はGround floorの48の部屋に、奥の壁にかけてありますので、それをクリックすると、紛れもなく、です!)私の記憶違いではなかったことに感動!しかしあの絵の衝撃は忘れられないです。そこにまざまざと感じられる迫力の空間。ああ、なんとパワフルだったことか・・・。

彼の他の絵
しかし、フランシス・ベーコンの本や、展覧会などで見ていくと、彼は異様な形に変形した肉塊を多く描いている。3枚つづりの絵などは、一連の運動として見ることができるから、未分化のぐにゃぐにゃした肉塊を、生か性、あるいは他のエネルギーがある欲望の形を作り出そうともがいているよう。しかもその欲望的エネルギーがとんでもない代物で、肉塊は人間というイキモノにきちんとなるはずなのに、どこかで狂ってしまって、未分化のまま、分化もできず、過激な異型として変形、それがたけり狂ってるのか、多少進化してるのか良くわからんブキミなものとしてある。エネルギーの爆発的な衝動を感じる・・・。
これらはまたジョージの肖像とは違う強烈な迫力があります。そういえば「バットマン」でジョーカーが手下と美術館で芸術品を台無しにしながら行進するシーン。手下が他の絵と同じように切り刻もうとした時「この絵は気に入った」と、ステッキで止めるのはベーコンの絵だった。牛か何か動物の真っ二つに裂かれた肉塊が吊り下げられてるのをバックに椅子に座った男性が叫んでる、なぜ叫んでいるのか。その肉の迫力ゆえか、それとも自分がそうなる恐怖からか良くわかりませんが、グロテスクであることは異論なしと思いますが。いずれにしても、それゆえにかジョーカーは気に入った。(上記のベーコンの絵のリンクは、 Franis Bacon Images Galleryに張ってます。)

アルバビジュアルの理想形?
フランシス・ベーコンの絵画はグロテスクだけど、決して悲劇的ではなくて、彼ならではの徹底したスタイルがあって、むしろカッコよさを感じるのです。ブーンとうなっているような状態。ふと思いましたが、自動車教習所のビデオで見せられる、空気の少ないタイヤがスピード出しすぎてグニャグニャした後バーンと裂けてしまう、あのグニャグニャ状態に近いのでは・・・。まあ見方は色々なので、こんな比喩は個人的すぎるでしょうか。
このパッと見のインパクト、人を立ち止まらせ、うならせるパワーとスタイル。これはアルバトロスが追求するビジュアルの理想ではないですか!
いつかスペインに、この絵に会いに行こう!果たしてあの感動は再び来るのか!皆様、スペインに行ってご覧になられたときにはぜひ感想などお聞かせください!

※ベーコンの絵を貼り付けたかったのですが、著作権の関係上、載せられないようなので、リンクを晴らせて頂きました。

posted by ALB : 2005年09月21日 15:57 | アート
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