小学校1年生から高校3年生まで、担任の教師はすべて女性。公文の先生も進研ゼミの赤ペン先生も女性だった。おまけに親戚も従兄弟より従姉妹のほうが多く、やたらと伯母や叔母が家に遊びに来るという環境だった。それが理由なのかはわからないが、“男らしさ”というものが皆無に近くて些細なことで心が折れてしまう大人になった。先日も駅にいた派手な女子高生をホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァーデイルに似ているなと眺めていたら「なんだよ、てめぇ」と凄まれ(また、その形相がシャウトするカヴァーデイルに酷似)、その日は寝るまでブルーに。さらに数日後に美容院へ行ったら、在りし日のジョン・F・ケネディそっくりの髪型にされて、翌朝に目覚めてもブルーなままだった。そんな時になると必ず頭に浮かぶのが、どっかのダムの上で虚ろな顔をしてフラフラしている自分の姿。“ダム=投身”、そうしたダムに対して抱いていたネガティブなイメージを変えられるかもとチェックしてみたのが『ザ・ダム』。
登場するのは、専門サイト“ダムサイト”の管理人である萩原雅紀氏と本作の企画&撮影&編集&監督&音楽を務める石川順氏。この2人が、藤原、奈良俣、矢木沢、須田貝、小森と群馬県にある5つのダムを「あーでもない、こーでもない」とダベりながら巡っていくという極めてシンプルなもの。萩原氏という生粋のダム・マニアが参加しているだけに、ダムにも一般的なコンクリート製のほかに岩と粘土を積み上げた“ゾーン型ロックフィルダム”や土を盛り上げただけの“アースダム”をはじめ様々な形式があることなど、興味深い話がタップリと聞ける。その一方で、「去年、ここで携帯電話を落としちゃったんですよ」とか「放水の時にテディ・ベアを一緒に流したら、どんな感じすかね?」なんて、すこぶるくだらない発言も飛び出してくるので油断は禁物。加えて、撮影を1日で済ませようとしたために、最終目的地の小森ダムに着く頃には日が暮れて画面は真っ暗というアバウトぶりにもしこたま驚愕。


とはいえ、そんな些細な問題は次々と映し出されるダムの勇姿に吹っ飛びました! 巨大なコンクリートの塊が山の中から突如として現れるインパクトは、『未知との遭遇』のデビルズ・タワーに作られたUFO用滑走路とタメ張るほど。その造形も、改めて見てみると初期“007シリーズ”に出てくるスペクターかなんかの秘密基地みたいで異様にカッコいい! かなりの低予算であることは間違いないのに、天災や人災が起きないパニック超大作とでもいうような奇妙なスケールを感じさせるのであります。もちろん、徹夜明けの疲れた状態で観ていたせいもあるかと思われます。



「ダム巡りのDVDなんて見るだけ時間のムダ」などと思えばそれまで。でも、そう思ったら負けてしまうような気がする味わい深い作品であります!


ちなみに特典は、どっかのアーカイブから借りたと思しきアメリカはフーバー・ダムの放水&建設時の記録映像。『ソイレント・グリーン』のポスターよろしく、何十人もの作業員をギッチギチに詰め込んだトラックが凄まじいガケ道を進んでいくという、これまた必見の衝撃的ブツであります。

