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銀盤を噛め!
リミット90

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 今年で遂に36歳になりました。
それなりに歳を重ねるに従って様々な経験を積んできたわけですが、
そうなるとそれまで何にも考えずに聴いていた曲の歌詞がグッと来たりするもの。
そのなかでもボブ・ディランの「時代は変る」に収められた名曲、
「いつもの朝に(One Too Many Mornings)」の一節であります
“そっちからすればそっちが正しいし、こっちからしてみればこっちが正しい”
(You’re right from your side, I’m right from mine.)
がビンビンと理解できるようになったのであります。
そして、そんな一節が身に染みるシチュエーションに遭遇することも多くなりました。

とある平日の午前中。
二木の菓子でハイチュウを箱買いしようと、高田馬場から山手線に乗って御徒町へ。
すると大塚から五十がらみの女が乗り込み、ガラ空きにも関わらず俺の隣に着席。
おもむろに薄汚れた合皮のバッグから歌舞伎揚を取り出すと、3枚ほど一気食い。
身体を少し震わせながらサイレントなゲップを放った後、
当たり前のように油でテカった指先を俺のジーンズの膝で拭い、日暮里で降りました。
きっと、こういうことなのでしょう。
“そっちからすればそっちが正しいし、こっちからしてみればこっちが正しい”
(You’re right from your side, I’m right from mine.)

とある平日の午後。
近所の公園で遊ぶ子供たちをニヤニヤと眺めた後、俺の部屋があるマンションへ。
行先階の9を押してドアが閉まるのを待っていると、
“人間の煮こごり”としか表現しようのない異様に太った男が俊敏にライドオン。
「ドア、開けとけよ」みたいな一瞥を俺に送ると、当たり前のように2をポチっとな。
そうしたら、ほんとに2階で降りてきました!
エレベーターに残されたのは、2のボタンにしっかりと残された彼の指紋と
手にブラ下げていたテイクアウトらしき餃子の強烈な残り香。
後日、エレベーター隣の階段で1階から2階に登ってみると、段数は14段でした。
きっと、こういうことなのでしょう。
“そっちからすればそっちが正しいし、こっちからしてみればこっちが正しい”
(You’re right from your side, I’m right from mine.)

というわけで、今月は『リミット90』であります!

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清掃員に成り済まし、某企業のビルへと潜り込んだギャングのマンシーニ。17階にあ
る人事部長の部屋を爆破しようと、起動させた時限爆弾を持ってエレベーターに乗り
込む。しかし、そこへ冴えない契約社員のメローニ、役員と不倫関係にある美人ヴィ
オレッタが乗り込んできたうえに、なんらかの理由でエレベーターが緊急停止してし
まう。時限爆弾のリミットが刻々と迫るなか、乗り合わせた2人に素性と目的を明か
せぬま、鉄の個室と化したエレベーターからの脱出を考えるマンシーニだが……。

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 誰ひとりとして名前の聞いたことのないスタッフが揃ったイタリア製映画、
しかもビデオ撮りなのでナメていましたが、これが意外にも快作でありました!
閉じ込められた3人が抱える背景がフラッシュバック形式で徐々に明らかにされ、
それらがマンシーニの“ある目的”に結びつくという巧みな筋運びがなかなか。
加えて、メローニとヴィオレッタのちょいボーイ・ミーツ・ガールな恋模様、
ギャングとカタギの男女が育む絆もベタではありますが、あえてそれがイイ感じ。

ヴィオレッタを演じるエリザベッタ・ロケッティという女が、
実にシーメール的な風貌でいいなぁと思って調べたところ、
アルジェント先生の「ドゥー・ユー・ライク・ヒッチコック?」に出てました。
「そういえば、これって観てなかった!」と気付かせてくれた意味でも素敵な一本です。

posted by alb_blog : 10:53 | フィルムレーベル
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