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カメの話

うちにはカメがいる。

ゼニガメの「カメゴン」。

カメゴン2007小.JPG

性別不明。
もう、飼い始めて7年。

学生のとき、
友人宅で飼っていた「アキラ」というゼニガメに出会って、
カメを飼おうと決めた。

「アキラ」は、
友人の小さな手のひらよりもひとまわり小さくて、
洗面用のたらい程度の入れ物に砂利を敷き詰めたところに住んでいた。

たまに 
たらいの外に出ようと立ち上がって
手足を仕切りにパタパタさせる。

その姿は、(今考えれば少し切ないんだけど)
パントマイムをするカメという感じで、
なんとも言えずシュール。

たらいの外に出してやって、
ワンルームの家の中を、小さな体でちょこちょこと散歩する姿は
可愛らしかった。

でも、それは「アキラ」が小さなカメだったからかもしれない。

うちの「カメゴン」。
まだ7歳。
なのに体の大きさは「アキラ」の2倍以上。

飼い始めたときは、
500円玉よりほんのひとまわり大きい程度の元気な子ガメだった。

どんどん どんどん どんどん 大きくなって、
水槽も3回も買い換えて、
置石も2度のサイズアップ。

「アキラ」は確か、
あの小さな体で、もう10歳は超えていた。

うちの「カメゴン」、
今では 私の手のひらにも納まらない。
(たぶん、甲羅だけでも15センチくらいあるな)

確かに小さいころからよく食べる子ガメだったけど、
1日1回から2回のカメフードだし、
必要以上に動き回っていた気がする。

ちゃんと甲羅干しできる状態にしているし、
水槽だって充分運動できる広さはある。
たまにベランダに出して、散歩もさせている。

この散歩の時間というのが、散歩という穏やかなものじゃない。

小.JPG

週に1、2回、
横幅60センチ以上ある水槽の水を入れ換え、
置石やら砂利やらをきれいにし、
「カメゴン」の甲羅を歯ブラシで磨くという大仕事がある。
その合間に、「カメゴンが脱走を試みる時間」と言ったほうが正しいかもしれない。


私が水槽を洗っている間、
「カメゴン」はベランダを自由に歩き回る。
自由にと言っても、
隣のベランダへ抜ける柵の下側をいろいろな障害物で囲って、
「カメゴン」が隣にお邪魔しないようにはしてある。

大抵は、
ベランダに水をまいている私を避けながら、うろうろとベランダを歩き回り、
隣のベランダとの境目まで行って、ひとしきりパントマイムをして脱出をあきらめる。

ただ
先週の「カメゴン」は違った。


その日、

「カメゴン」が走った。


あんなに早く走るカメは 初めて見た。


エリマキトカゲのCMのようだった。


私の手から離れた瞬間、隣のベランダの隙間めがけて猛ダッシュ。
甲羅が舞い上がった。

私もあわてて、追いかける。

いつもはみっちりと囲ってある障害物がずれて、となりのベランダへ小さな隙間ができていた。
そんなに広いベランダではないのだけれど、
カメゴンがあまりにも速く走ったので、私も急いで追わないと間に合わなかった。
4メートルくらいを、1秒くらいで走ったんじゃないか。

ものすごい速さで、
逃げる「カメゴン」。追う私。

なんだか

悲しかった。

ごめんね、「カメゴン」。

外の世界に 出たいのね。

エサをもらうときは、寄ってくるのに。

反抗期の息子を持つ母親の気分。

でも、7年間、水槽の中でご飯付き・外敵なしの生活をしてきたゼニガメに
外の池の生活は無理。

ろくに泳ぐこともできないし、 凶暴なワニガメと喧嘩したらどうなることか。

置石が小さいなら、また 河原で拾ってくるから。

水換え、頑張ってもっとこまめにやるから。

掃除し終えた水槽に「カメゴン」を戻しながら、訴える私。
暴れる「カメゴン」。

結局水槽の中に落ち着かせ、一息。
「カメゴン」落ち着いて
けのび。
石の上で 甲羅干し。

私も、「カメゴン」を横目にプランターの草と土をいじりながら、
これからのカメライフについて考える。

鶴は、 千年。

カメは、 万年 生きるんだろうか。


カメを飼いたい そこの君、
そんな君のパパ、

カメは すごいよ。

しっかりね。


昔、ビデオで「えびボクサー」って見たけど、
うちの「カメゴン」も、あと何十年かしたら、
ああなります。

たぶん。

カメハットのコピー小.JPGカメハットのコピー小.JPG
カメハットのコピー小.JPGカメハットのコピー小.JPG

posted by yuratama : August 22, 2007 01:50 AM |
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PROFILE
萩野谷 直子 (はぎのや なおこ)
1980年生まれ。茨城出身。

2006年から東京で創作活動をスタート。
マイペースに活動しながら、ほんの少しずつ、
自分の作品を世に広めつつある。

映画といえば、
「アメリ」が好き。
エログロは嫌い。

幸せで
なんだかちょっと 懐かしい。
なんだかちょっと 切ない。
ゆらゆらと ゆっくりと
ついつい 足を止めて 妄想に浸ってしまう
そんな作品を つくっています。

好きな食べ物は
マルセイバターサンド。
オフィシャルHP