2001年上半期のフランス映画のなかで、あらゆる意味でもっとも話題になった作品、それが『アメリ』だ。まず4月末の公開一週間でいきなり120万人もの観客を動員したこと。それを受けて、5月のカンヌ映画祭に出品されなかったことに対してマスコミが事務局側の判断を揶揄し、論争を巻き起こしたこと。さらにその後も衰えることなく膨張する動員数と称賛の声に、今度は反旗を翻すかのように一部の批評家が、「移民がきれいに排除された復古的、右寄りの映画」と批判した等々。そんなわけで公開数ヶ月を過ぎた現在も話題は収まらず、ロングラン・ヒットを続けているのである。実際、映画の評判を聞いてシラク大統領やジョスパン首相までもが鑑賞したというのだから、その加熱ぶりは推して知るべしだろう(先出の批判的な意見は、レトロなパリの良さを描いたこの作品が、政治家たちにプロパガンダとして用いられるのを恐れたゆえの、いささか作意的な行為でもあった)。

いずれにせよ確かなことは、『アメリ』がそれだけ多くの人に愛されたという事実だ。その一番の理由は、情緒あふれるモンマルトルを舞台にしたこのチャーミングなコメディが観客を温かな気分に誘うから。
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