四川航空3U8633便。重慶発、ラサ行き。
旅に出る者、故郷へ帰る者、そして愛する人のもとへと向かう者―
乗客乗員128名それぞれの想いを乗せて飛び立つ。
しかし、操縦室を予期せぬ事態が襲い、墜落の危機に陥る。
生死の淵をさまよう機体を待ち受けるものとは―。
操縦不可能、氷点下30度、巨大な乱気流。
絶体絶命の中で、必ず生きて還ると誓う男がいた―。
2018年5月14日。重慶市からラサに向かう四川航空3U8633便。リュー機長をはじめとする9名のクルーは、乗客119名を乗せて飛び立った。当初フライトは順調かに思えた。しかし、地上1万メートルの高空を飛行する中、突如操縦室のフロントガラスにひびが入り、瞬く間に大破。副操縦士のチェンの体が外に投げ出される。辛うじてチェンの体を掴んだリュー機長だったが、氷点下30度の冷風が前方から激しく吹き込み、圧力を失った操縦室は自動操縦も不可能になる。激しく揺れる機体に、クルーたちの制止も虚しく乗客たちはパニックとなるが、それはまだ、その先に待ち受ける空前の危機の序章に過ぎなかった―。